臍ヘルニア(でべそ)

一般的には「出べそ」と呼ばれています。おなかは外側の皮膚、内臓を包む腹膜の2つの膜で覆われています。
へそははじめ皮膚では覆われますが、腹膜は閉じず、泣いたりするとへそが膨らみます。
腹膜の穴は3ヶ月頃にもっとも大きくなり、1〜2歳頃に閉じます。
しかし、臍がずっと出たままでいると、皮膚が余り、でっぱった臍になってしまいます。
でべその治療
でべそは、「10円玉を貼って治す」と言われた時代もありますが、肌が荒れて長く続けられませんでした。
少し前までは、臍ヘルニアは自然に治るのを待って、治らないものを手術していました。
最近は肌にいいテープもできて、圧迫したほうがきれいに治るため、圧迫療法が再開されています。
圧迫療法
当院では、商品化された圧迫材か綿球による圧迫を行っています。
2週間に一度外来受診をしていただき張り替えます。
圧迫の仕方によっては腸をはさんでしまうこともあるので、医師の診察、指導のもとに行ってください。
当院では腸を挟む可能性が低い場合のみ、ご家庭で張り替えしてもらっています。
手術
1〜2歳を越えても、おなかの内側の膜が閉じない場合には、今後閉じることがないため、手術が必要です。
こどものうちは臍ヘルニアは嵌頓といって腸が飛び出して戻らなくなることはありませんが、大人になると嵌頓を起こすことがあります。
膜は閉じても皮膚が余った場合にも手術適応となることがあります。ご相談ください。
へその緒について
へその緒
おかあさんのおなかの中にいる間は、赤ちゃんはへその緒(臍帯)から栄養と酸素をもらい、逆に不要なものをへその緒からおかあさんにかえしています。
おぎゃあと生まれると、へその尾はクリップでとめて切られ、自分で呼吸をして酸素を取り入れるとともに、おっぱいやミルクを栄養として口から取り入れます。
へその緒と腸の回転
腸はもともとまっすぐですが、お母さんのおなかの中にいる間に『の』の字を書くように大腸が右下から左下までぐるっと廻ります。
このとき、腸は一度へその緒の中にはいってから廻ります。
おへその病気
へそと腸の病気
- 腸の回転が途中でとまってしまった→ 腸回転異常症
- 臍帯の中に腸が残ったまま生まれた→ 臍帯ヘルニア
- へそに腸がつながったまま生まれた→ 臍腸管遺残
- 臍腸管が一部小腸に残っている→ メッケル憩室
臍炎と臍肉芽腫
へその緒を切ったあとも、へそがぐじゅぐじゅしてなかなか治らないことがあり、これを臍炎といいます。
臍炎がすすみ、キノコのように組織の盛りあがりができてしまうものを臍肉芽腫といいます。
治療はステロイド軟こうですが、臍肉芽腫が大きい場合は根元を糸でしばって切ることもあります。
治らない臍炎
なかなか治らない臍炎や繰り返す臍炎には原因があることがあります。
- 臍と腸がつながっている→ 臍腸管遺残
- 臍と膀胱がつながっている→ 尿膜管遺残
これらは超音波検査で診断し、治療には手術が必要です。
臍帯ヘルニア
臍ヘルニア(でべそ)に似ていますが、こちらはへその緒の中に腸が入ったまま生まれてきた病気で、手術で閉鎖しますが、おへそがないので、後日へそ形成術を行います。
腹壁破裂というおへその横に穴があいて腸が出ている病気もありますが、こちらはおへそは正常です。
いずれも胎児エコーで出生前診断できます。