むねの症状

乳腺の発達
赤ちゃんで乳腺が発達していることがあります。
おかあさんのホルモンの影響が残っている場合が多いですが、なかには思春期早発症のことがあります。
小学校に入る前より乳腺が発達している場合、思春期早発症の可能性を考えます。
思春期早発症
思春期早発症は第二次性徴が早く起こるため、身長が高いことが多いです。
逆に早く終わってしまうため、最終的に低身長になってしまいます。
生理が早く来て、体の発達に心の発達がついていけないことも問題です。
原因を調べ、女性ホルモンを抑える治療が必要になることがあります。
胸郭の変形(ろうと胸・鳩胸)
胸の真ん中、胸骨が凹んでいることがあり、ろうと胸と呼びます。
ろうと胸は心臓や肺などに問題があることは少ないです。
治療は手術になりますが、小学校高学年〜中学生になったら行います。
胸骨がでっぱっている鳩胸は、きずが目立ちにくい手術がなかなかありません。
側弯症
小学校高学年〜中学生の女子に、側弯症といって、背骨がまがってくることがあります。
原因は不明で、立っていると気づきませんが、前屈すると片方の肩が上がるため、学校健診にてチェックします。
治療ははじめは矯正具ですが、改善しない場合は手術が必要になることがあります。
自然気胸
ケガで肺に穴があくこともありますが、自然気胸といって自然に穴があくこともあります。
細身で背が高いひとに多く、成長期に肺にブラやブレブといった壁の薄いところができるのが原因と考えられています。
胸腔穿刺といって、一時的に肺に管を入れますが、改善しない、繰り返す場合には手術が必要です。
嚢胞性肺疾患
うまれつき壁の薄い部分ができている病気があり、先天性嚢胞性肺疾患といいます。
CCAM(先天性嚢胞状腺腫様形成異常)、肺分画症、気管支閉鎖症などがあり、生まれる前にわかることもありますが、肺炎などを繰り返しわかることもあります。
現在は胸腔鏡手術が行われています。
むねの痛み
胸痛の原因
こどもの胸の痛みの大部分は骨や筋肉、神経などの胸郭の痛みです。
次に呼吸器ですが、気胸を除くとほとんどのものが、咳などの症状があります。
食道炎や胃炎、胃潰瘍といった消化器のものや心因性の痛みのこともあります。
心臓が原因の痛みとなるのはごくわずかです。
胸郭性の胸痛
胸郭が原因となる胸痛は肋間神経痛といわれることもありますが、どのようにして痛みが生じているかがわからないことも多いです。
みずぼうそうになったことがある子がかかる帯状疱疹では、痛みの場所に一致して発疹ができます。
呼吸器による胸痛
呼吸器が原因となる胸痛は、気胸や気管支喘息、肺炎からの胸膜炎などがあります。
胸膜炎では咳などの症状があり、気管支喘息ではゼーゼーといった喘鳴が聞こえます。
気胸は緊急の処置が必要なことがありますが、胸部レントゲンで確認できます。
消化器による胸痛
逆流性食道炎や胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍では、肋骨の真ん中すぐ下、心窩部といわれる部分に痛みを生じます。
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍は小さい子ではまれですが、井戸水などでヘリコバクターピロリに感染したり、ステロイドやNSAIDSといった薬で起きることもあります。
学童、青年期ではストレスによっても起こります。
心臓による胸痛
大人のように、狭心症や心筋梗塞になることはほとんどありません。
川崎病後冠動脈瘤がある場合には、起こすこともあります。
心膜炎や不整脈、心筋炎の場合にも胸痛を起こすことがありますが、まれです。
心因性の胸痛
聴診で、心音や呼吸音の異常がないか。
視診、触診で異常はないか。
胸部レントゲンで肺や心臓、骨の異常はないか。
心電図で不整脈などの異常はないか。
これで異常がなければほとんど問題ないですが、小児循環器科で心エコーを行って異常がないことがわかって、はじめて心因性を疑います。