こどもの腹痛STOMACHACHE

腹痛

腹痛
こどものおなかが痛くなる(腹痛)原因の8割は便秘です。嘔吐や下痢を伴う場合には、腸炎を考えます。
こどもは、おなかが痛いのか気持ち悪いのかわからなかったり、ただ不機嫌だったり、ぐったりしてしまうこともあります。
このときにも、超音波検査は有用です。
腹痛の原因
  • 便秘
  • 腸炎
  • 虫垂炎
  • 腸重積
  • 膵炎、胆道拡張症
  • 腎盂腎炎、尿路感染症
  • IgA血管炎
  • 腸回転異常
  • 卵巣捻転
  • 鼠径ヘルニア嵌頓
  • 生理痛、子宮外妊娠

などが考えられます。

腹痛の検査
  • 聴診、触診
    腸の動きはおかしくないか?腫瘤を触れたりしないか?
  • 超音波検査
  • レントゲン検査
    腸の動きはおかしくないか?腸に穴があいてないか?
  • 血液検査
    炎症はないか?肝臓や膵臓、胆嚢は?
  • 胃カメラ、大腸カメラ
    胃や腸に異常はないか?
  • MRI、CTなど…
虫垂炎

俗にいう『盲腸』ですが、はじめは上のほうが痛かったり、気持ち悪いだけで次第に右下が痛くなります。
熱が出て、採血検査では炎症の値が上がります。超音波検査で太くなった虫垂があれば診断です。
大人ではCTを撮らなければわからないこともありますが、こどもでは被爆の問題もあり、超音波だけで診断できることも多いです。

虫垂炎の治療

軽ければ抗生剤で抑えることもできますが、再発もするので手術のほうがいいと思います。
昔は虫垂炎のキズは右下にありましたが、今は腹腔鏡手術が主流です。
ひどい虫垂炎は緊急手術ですが、抗生剤で炎症を抑え、よくなったあとに手術をすることもあります。

腸重積

腸が腸に入り込んでしまう病気で、おなかの中のリンパ節が原因となることが多いです。
リンパ節を腸が巻き込み、腸重積を起こします。 間欠的腹痛といって、痛くなったり痛みが弱まったりを繰り返します。
小さい子の場合には機嫌が悪くなったりよくなったりします。 ひどくなると、吐いたり、血便がでることもあります。

腸重積の診断治療

浣腸をし便に血が混じると疑い、超音波検査で腸重積像が映れば診断です。
高圧浣腸といって、おしりから造影剤や空気をいれて、入り込んだ腸を治します。
これで治らなかったり、
時間が経ってしまっている場合には、手術が必要です。

腸重積の原因

ロタウイルスワクチンを打つことで、おなかのリンパ節が腫れて起きることもあります。
年齢が高い子や繰り返し腸重積を起こす子は別の病気の可能性があります。
生まれつき、腸にでっぱりがあるメッケル憩室や、
血液のガンである悪性リンパ腫が原因のときがあります。

膵炎

膵炎は大人ではお酒や胆石あるいはがんが原因になることが多く、自分で作る膵液で膵臓自体を溶かし、おなかが痛くなります。
こどもでは胆汁の通り道(胆管)や膵液の通り道(膵管)の異常のことがあります。
原因不明のことも多いですが…

膵胆管合流異常

胆管と膵管は同時に腸につながりますが、それが胆管と膵管が先に合流してから腸につながることがあり、これを膵胆管合流異常といいます。
胆管と膵管が先に合流すると胆汁と膵液が混じった結果おなが痛くなったり、吐いたりすることがあり、よくお腹が痛いって言うんですとか、不定愁訴、詐病と間違われることもあります。

胆道拡張症

膵胆管合流異常は胆管が太くなっていることも多く、胆道拡張症と言われ超音波で診断できます。
胆道拡張症は将来、胆道がんを発生しやすく、10代、20代でも起きることがあります。
治療法は手術しかありませんが、たび重なる腹痛は放っておかず、超音波検査を行いましょう。

IgA血管炎

全身の血管に炎症を起こす病気で、炎症で足の血管が壊れ、足に点々と小さな出血班があらわれます。以前はアレルギー性紫斑病と言われていました。
おなかの血管も炎症をおこし、おなかが痛くなったり、下血したりします。
腎臓の血管も炎症を起こし、血尿や蛋白尿が出て腎炎になります。
関節にも炎症をおこし、関節痛を起こします。

腸回転異常

おかあさんのおなかの中で腸の回転が途中で止まってしまったものを腸回転異常といいます。
腸回転異常があると、中腸軸捻転といって急に小腸がねじれて、おなかが痛くなることがあります。
中腸軸捻転が起きてしまうと緊急手術が必要で、間に合わないと腸がくさってしまい、手術をしても短腸症候群になってしまいます。

短腸症候群

小腸閉鎖など生まれつきの病気や手術で腸を切除した影響で腸が短くなってしまうことがあります。
短腸症候群があると、栄養や水分の吸収が十分に行えず、中心静脈という太い血管に点滴を入れて、これを補う必要があります。(IVH)
IVHは在宅でも行えます。
場合によっては小腸移植が必要になることがあります。

卵巣捻転

卵巣は排卵期には大きくなりますが、機能性嚢胞といって、より大きくなることがあります。
機能性嚢胞が5cmを超えるくらいになると、卵巣がねじれて激しい痛みが出ることがあります。
卵巣の腫瘍によってもねじれは起き、卵巣腫瘍茎捻転と呼ばれます。
いずれも卵巣がくさってしまう可能性があり、緊急手術が必要です。