小児がん

白血病
小児がんで一番多いのは白血病、とくに急性リンパ性白血病です。
10万人あたり3〜4人で、10歳未満が多いです。
乳児では顔色が悪く元気がなかったり、学童では動悸や息切れ、疲れやすかったりします。
採血では貧血と血小板減少を認め、体にあざもできやすくなります。
治療は化学療法(抗がん剤)で造血幹細胞移植を行うこともあります。
悪性リンパ腫
くびのリンパ節が腫れて気づかれることが多いですが、胸部レントゲンで縦郭リンパ節が腫れていたり、腸重積の原因として発見されることもあります。
全身症状は、腫瘍全体にも言えますが、発熱や体重減少、貧血がみられます。
採血検査でLDHの値が高いことでわかることもあります。
治療は化学療法、放射線です。
脳腫瘍
15歳以下では10万人あたり年間1〜2人発生します。
頭痛、嘔吐、けいれんの他に、腫瘍の場所により、言語障害、麻痺、視機能障害、意識障害、行動異常などがみられます。
尿崩症や思春期早発症、低身長の原因の時もあります。
1歳以下では頭囲が拡大することがあります。
神経芽腫
腎臓の上にある副腎や脊髄に沿って走る交感神経節に発生します。
3歳以下に多く、目や骨に転移することがあります。
1回の手術で終わることもありますが、生検といって、どのような細胞か調べる手術をしたあとに、化学療法で腫瘍を小さくして再度手術を行うこともあります。
Wilms腫瘍
腎臓にできる腫瘍で、5歳以下に多く、肺に転移することがあります。
手術で腎臓とともに切除したのち、化学療法、放射線療法を行います。
5年生存率は80%以上あります。
肝芽腫
肝臓にできる腫瘍で3歳以下に多く、男の子に多い傾向にあります。
手術で腫瘍の完全切除を行いますが、難しい場合には、先に化学療法で腫瘍を小さくしたあとに切除を行います。
放射線は効きにくく、転移がなければ肝移植を行うこともあります。
骨肉腫・Ewing肉腫
骨肉腫は悪性骨腫瘍で最も多く、70%は下肢に起きます。
Ewing肉腫は骨盤や大腿骨・上腕骨に多く発生します。
いずれも10歳代、男児に多く、痛みと腫れを認めます。
発見時には肺に転移していることが多く、手術、化学療法が行われます。
Ewing肉腫は放射線を加えます。
胚細胞腫瘍
卵巣や骨盤内、仙尾部といわれるおしりの部分に胚細胞腫瘍を認めることがあります。
仙尾部のものは、排尿排便障害や下肢の運動麻痺を生じることもあります。
良性と悪性のものがあり、奇形種は良性で手術のみ行いますが、悪性のものは化学療法を追加します。