外傷

CTは被爆の問題もあるため、こどもでは特にどのようなときに撮るかが問題です。
頭部CT
- 2歳未満では90cm、2歳以上では1.5mより高いところからの転落
- 衝撃の強い交通外傷
- 意識を失った、けいれんした、吐いた、激しい頭痛がある
- 頭のレントゲンで骨折線が見える
このようなときは頭部CTを考慮します。
こどもの胸部外傷
重症化するようであれば、心臓や大血管が傷ついている可能性があります。
骨折では、鎖骨骨折、肋骨骨折が多くみられます。
肺に穴があく気胸や出血する血胸、心臓のまわりに血がたまる心タンポナーデなどを診断するため、胸部レントゲン撮影が必要です。
血胸(胸水)・心タンポナーデは超音波でも確認できます。
こどもの腹部外傷
肝臓、脾臓、膵臓、腎臓の損傷では、超音波で周囲に出血が見られます。
臓器を覆う膜(被膜)を超えて出血した場合には、おなか全体、特に膀胱の裏側に血(腹水)がたまります。
被膜を超える出血がある場合は緊急手術、処置が必要です。
腸に穴があいた場合、レントゲンで空気のもれ(フリーエアー)が確認できます。
手足の外傷
スポーツ外傷、交通事故によるものが多く筋、腱、靭帯損傷、骨折、脱臼などがあります。
救急では、湿布、固定、痛み止め治療をしますが、最終的には整形外科受診が必要になります。
特に脱臼治療は整形外科受診が必要ですが、肘内障(肘関節亜脱臼)は小児科でも対応可能なところがあります。
肘内障
子供が転んだので、手をひいて立たせたら腕を動かさなくなった、痛がる。
これを肘内障といい、こどもの肘関節はゆるく亜脱臼を起こしやすいです。
肘をまわして整復すれば治りますが、繰り返すとくせになってしまいます。
転んだり、ぶつけたりで腕を動かさない場合には骨折などの可能性が高いです。
けがをしたとき
キズがないものは、冷やし、動かさないよう固定して受診してください。
キズがあるものは水道水でよく洗い、きれいなガーゼやハンカチ、絆創膏をはってください。
血が止まらないときはガーゼやハンカチで抑えて受診してください。
輪ゴムやひもでしばると血液が通わなくなることがあります。
けがの処置
クリニックでも、まずはキズをきれいに洗います。
浅い小さいキズは縫わなくてもよく、テープで固定しフィルムで覆います。
深いキズや大きいキズは消毒、麻酔をしたあとに、ナイロン製の糸で縫い、フィルムで覆います。
組織が欠損してしまったキズはキズパワーパッドのようなドレッシング材で覆います。
汚れているキズ
汚れているキズでは、破傷風菌がいる可能性があるため、ワクチンを打ちます。
中学生までは定期予防接種の効果が残っているので打たないこともあります。
動物にかまれたキズは化膿しやすく、そこで菌が増殖してしまうため縫うことができません。
縫ったキズ、汚れているキズでは、抗生物質の内服が必要になります。