感染症INFECTION

感染症

感染症
子どもがかかりやすい感染症は、季節や年齢によって特徴があります。早期の気づきと対応が、症状の悪化や家族内感染を防ぐポイントになります。

溶連菌感染症

発熱し、口の中やベロが赤くなったりします。(いちご舌)溶連菌は抗生剤を飲めば翌日にはたいてい解熱します。
感染2週間後くらいに、急性糸球体腎炎を起こすことがあります。溶連菌感染は繰り返し起こり、家族内でも感染を繰り返すことがあります。

手足口病

手足口病はヘルパンギーナとともにエンテロウイルスによって起こり、夏に流行る夏かぜの一種です。ウイルスは飛沫、経口、接触でうつり、高熱と手のひら、足の裏、口の中に発疹ができます。おしりにもできることもあります。
治ったあとには手のひらや足の裏の皮が剥けることがあります。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは高熱と口の中の軟口蓋というところに発疹ができます。手足口病もヘルパンギーナも口の中の発疹(口内炎)が痛くて何も食べなくなってしまうのが問題です。熱いものや辛いもの、酸っぱいものは食べれず、アイスやプリン、牛乳、麦茶、冷たいスープなどは比較的食べます。いずれも髄膜炎を起こしやすいウイルスです。

伝染性紅斑

りんご病と言われ、ほほが赤くなり、体にレース状の斑点がでます。
しかし、斑点が出たときにはすでに感染力はなくなっています。6-12歳に多く、妊婦さんに感染すると、胎児水腫や流産、死産の原因になります。

肺炎マイコプラズマ

小学生以上の肺炎の原因菌で、症状以上にレントゲンがひどく写ります。抗原検査では出にくく、LAMP法では結果に5日くらいかかります。治療はクラリスロマイシンですが、飲みにくく、吐いてしまうこともあります。
チョコレートやアイスクリームに混ぜると飲みやすくなります。

肺炎クラミジア

症状、治療法ともに、マイコプラズマとほぼ同様です。今年になって、LAMP法での検査ができるようになりましたが、以前は抗体検査でした。いずれにしろ検査結果まで時間がかかるため、疑ったらマイコプラズマ同様、検査をするとともにクラリスロマイシンを開始します。

RSウイルス感染症

冬に感染するウイルスで、大人ではただの風邪ですが、小さい子がかかると、喘息のようにゼーゼーすることがあります。
赤ちゃんはお母さんの免疫があり、6か月くらいまでは風邪をひきませんが、RSウイルスは免疫が効かず、感染してしまいます。早産など重症化しやすい子には人工的な抗体の注射をします。

ヒトメタニューモウイルス

ヒトメタニューモウイルスもRSウイルスと同じような症状を示します。しかし、お母さんからの免疫が効くため、生まれたばかりの子よりも6ヶ月以降の子のほうがかかりやすいです。

ライノウイルス

いわゆる風邪の原因ウイルスとしてもっとも多いです。たくさんの型があるため、何度も感染します。
同定する検査法はありません。症状に対する治療を行います。

パラインフルエンザ

クループの原因として最も多いウイルスです。犬が鳴くような咳が特徴で、喘息とは違う種類の吸入を行います。改善しない場合は強いステロイドの内服や注射を行います。やはり、同定する方法はなく、対処療法を行います。

単純ヘルペス

多くは、口唇炎、口内炎として発症します。性器に感染し、お母さんからの産道感染を起こします。
アトピーの子には水ぼうそうのようにカボジ水痘様発疹症を起こすこともあります。
単純ヘルペス脳炎は、けいれんや意識障害を起こし、致死的です。

突発性発疹症

生後6か月以降、お母さんの免疫がなくなると感染しやすくなります。
高熱のあとに体全身に発疹がでます。発疹が出るまでわからないことが多いです。
2種類のウイルスで起きるので、2回起こることがあります。高熱のわりに元気ですが、熱性けいれんを起こしやすいウイルスでもあります。

ボツリヌス症

はちみつなどの発酵食品に多く、乳児が食べると乳児ボツリヌス症を起こします。
神経毒があり、ものが見えにくくなったり、しゃべりにくくなったりし、手足の麻痺や呼吸ができなくなることもあります。

ネコひっかき病

ネコにひっかかれたり、かまれたりして、バルトネラ菌に感染します。
ひっかかれた部位の皮膚炎に加え、首や、脇、鼠径部のリンパ節が腫れます。

デング熱

蚊によって感染する感染症で、日本でも8年前に東京で確認されています。
発熱、頭痛、発疹、関節痛などを生じ、白血球減少や血小板減少も示します。
デング出血熱は重症です。治療法はなく、症状に応じた対処療法になります。

アタマジラミ症

頭皮に寄生し皮膚炎、かゆみを起こします。タオルや帽子、クシなどで感染します。
頭をよく観察しシラミや卵を見つけたら、薬局にてシラミ駆除剤、シラミ用シャンプーにて対応してください。病院での処方薬はありません。

伝染性軟属腫

からだや手足にできる水を含んだいぼで水いぼと言われます。
かゆみはないですが、掻いてつぶれると広がります。プールの水では感染しませんが、タオルや浮き輪などを共有すると感染します。
少ない場合は摘出もできますが、跡が残ることがあります。半年~1年くらいで自然に治ります。

伝染性膿痂疹

皮膚のキズに菌が感染したもので、とびひと言われます。夏に多く、水ぶくれやかさぶたをつくり、接触感染します。
プールの水では感染しませんが、タオルの共有で感染したり、プールの水で悪化することがあります。軟こう治療を行います。

疥癬

ヒゼンダニの感染で、かゆみの強い赤い発疹や、水泡ができます。接触感染し、手をつないだり、布団の共有で感染します。
軟こう治療を行いますが、内服薬もあります。

蟯虫症

肛門や外陰部にかゆみを起こします。経口感染で、睡眠中成虫が肛門のまわりに卵を産みます。
粘着テープで検査します。内服薬治療です。

ヒトパピローマウイルス

ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの原因ウイルスです。性感染症で思春期女性の40%以上が感染しているとされています。
日本では、年間9,000人が発症し、2,700人が亡くなっています。
ワクチンによって予防できます。